日本内分泌学会

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教育・研究

JES We Can リレーメッセージ

最終更新日:2024年10月30日

学会の発展の鍵は、『多様性(ダイバーシティー)』にあると言われます。性別、年齢、国籍だけでなく、専門(臨床、基礎研究、内科、外科、小児科…)、所属(大学、病院、企業、研究所・・・)、職種(医師、博士、医療専門職・・・)、研究対象(ヒト、動物、細胞、分子レベル・・・)など、多様性とは学問の質にも関わる重要な鍵です。

男女共同参画推進委員会(JES We Can: Japan Endocrine Society Women Endocrinologists Association)は、学会の多様性を目指す活動の一翼を担っています。その活動やロールモデルを紹介すべく、リレーメッセージを企画しました。ひとつひとつのメッセージから感じ取っていただくことがあると思います。是非、お読みください。

内分泌代謝内科医としての今までとこれから

独立行政法人国立病院機構 四国こどもとおとなの医療センター
臨床研究部長 吉田 守美子

今回リレーメッセージを担当します、吉田守美子です。臨床、研究、大学病院、市中病院、海外研究留学と様々な経験を経て、現在思うことを書いてみたいと思います。皆さんが自分の道を見つけ、さらなる成長を遂げる一助となれば幸いです。

「無駄な経験・時間はなかったと思う」
 私は、現在の臨床研修制度が始まる少し前に徳島大学第一内科に直接入局して医師人生をスタートしました。当時の第一内科は、臓器別診療に分かれる前で、内分泌代謝内科、血液内科、循環器内科、神経内科、消化器内科など、複数の専門分野の先生方が集まる医局でした。その後、6年間にわたり大学病院と市中の病院2か所で勤務し、あらゆる疾患について全力で勉強した経験が、現在の診療や研究の基盤となり、自信へとつながっていると実感しています。その後、再び大学病院に戻り大学院に進む段階で、内分泌代謝内科か血液内科かの選択を迫られました。外来診療で患者さんとじっくりお話しするのが好きで(当時は得意だとも思っていました)、またホルモン学のように生体内のネットワークの仕組みを考えることに魅力を感じたため、内分泌代謝内科を専攻することにしました。今でもその決断は間違っていなかったと感じています。タイムパフォーマンスを重視する時代ではありますが、内分泌代謝内科を専門とするまでの様々な経験に、無駄なものは一つもなかったと胸を張って言えます。もし、今の状況に焦りややりがいを感じられない方がいらっしゃったら、今目の前にあることに全力で取り組むことで、将来につながるということをお伝えしたいと思います。また、進路に迷っている方は、自分の興味ある分野を選ぶのも良いですが、自分が他者より得意で、無理なく努力できる分野を選択するのも一つの方法だと思います。

「臨床と研究、未来の医療における自分の役割を考える」
 医師7年目に徳島大学大学院に入り、アンドロゲン受容体の心血管臓器における役割が私の研究テーマになりました。当時は意識していませんでしたが、アンドロゲン研究を通じて性差医学にもつながっていきました。指導者や先輩方に恵まれ、基礎研究に没頭できた時期でしたが、昨今の忙しい診療業務や勤務時間の制限を考えると、当時のような大学院生活は今の若い先生方には参考にならないかもしれません。それでも、何かに集中する時期を持つことは、思考を深めるために必要な経験です。2013年から2014年にかけては、米国ボストン大学で基礎研究に従事しました。Top journalを目指している方々が集中して熱心に働いていること、ボスが常に研究結果に前向きであること、海外でも人脈が非常に重視されていることが印象的でした。研究室内だけでなく、他の研究者を積極的に巻き込んで成果を大きく発展させることが、より高い成果につながるということも学びました。Top scientistの世界を垣間見られたことは貴重な経験でした。帰国後も学会に参加し、多くの方々と交流することで、医学系基礎研究者の裾野の広さとその素晴らしい実績に感銘を受けました。私は、自分の役割は臨床医としてトランスレーショナルリサーチに関わり続けることだと目標を定めました。内分泌代謝内科を専門としながらも、老年医学、循環器疾患、性差医学など、様々な分野に関わっていけることを自身の強みとし、診療・研究の方向性を考えています。
【写真① ボストン大学留学中】

「未来の医療における女性医師のリーダーシップの重要性」
現在、臨床研究部長として部門のリーダーを任され、病院の幹部職員としても役割を与えられています。医師として技術的な面を学ぶ機会は多いですが、リーダーシップを学ぶ機会はほとんどないのではないでしょうか。私自身、診療や研究において性別を意識することなく進んできましたが、チームをまとめる力においては男女の違いを理解した方が上手くいくと感じています。女性のリーダーが増えることで、多様性の中から新しい医療の形が生まれることを期待しています。この点についてはまだ勉強中ですが、今後に続く女性医師・研究者のためにも、JES We Canの活動を通じて私の経験を伝えることが次の役割だと考えています。どうぞ臆することなく新しいことに挑戦してください。新しい景色が見えてくると、きっと人生が豊かになります。
【写真② 臨床研究部のメンバーと】

これまでのリレーメッセージ

自分自身であり続ける

島根大学医学部内科学講座内科学第一(内分泌代謝内科) 守田 美和

産婦人科医として考えること

島根大学 医学部 産科婦人科 折出 亜希

様々な多様性が活きる内分泌診療へ、そして医療者教育へ

岡山大学学術研究院医歯薬学域(医)総合内科学 くらしき総合診療医学教育講座
岡山大学病院 内分泌センター 三好 智子

小児内分泌科医の立場から
ー日本小児内分泌学会(JSPE)における10年間の女性医師の動向調査についての報告ー

医療法人 むらしたこどもクリニック 理事長
日本小児内分泌学会 男女共同参画・ワークライフバランス委員 村下 眞理

areからwereへ
政策研究大学院大学 名誉教授、跡見学園女子大学 心理学部臨床心理学科 特任教授 鈴木(堀田)眞理

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