日本内分泌学会

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教育・研究

若手研究奨励賞(YIA)受賞者コメント

最終更新日:2024年7月23日NEW

第25回 2024年度(令和6年度)
日本内分泌学会若手研究奨励賞(YIA)受賞コメント

(所属は受賞当時)

東京都済生会中央病院 小児科

阿部 清美

 このたびは栄誉ある賞を賜り、会長の長谷川奉延先生ならびに選考委員の先生方に深く御礼申し上げます。器官特異的転写因子PAX8は、甲状腺の濾胞形成と機能維持に必須であり、機能低下型バリアントは先天性甲状腺機能低下症(CH)の原因となります。本研究「4世代にわたり特異的甲状腺表現型を示した家系とその病因PAX8新規バリアントG56Sの多階層的機能解析」では、in silico、in vitro、in vivoにより、バリアント機能の評価のみならず、マウス甲状腺組織の経時的観察を通して濾胞形成不全および腺腫形成の分子病態解明にも取り組んでいます。

 ご指導いただいております長谷川奉延先生、鳴海覚志先生をはじめ、共同研究者の先生方、お世話になっております日本内分泌学会の先生方に深謝いたします。現在は勤務医として働きながら、週1日の研究日と週末を利用して大学で研究を進めていますが、臨床も教育にも尽力する所存です。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 


九州大学大学院医学研究院 病態制御内科学分野

内田 尚宏

 この度は第97回日本内分泌学会におきまして、若手研究奨励賞という大変栄誉ある賞を賜りまして大変光栄に存じます。私の研究は、糖質コルチコイド過剰による副腎萎縮のメカニズム解明に焦点を当てたものです。デキサメタゾンを投与したマウスモデルにおいて、副腎における細胞死と免疫細胞の浸潤が観察されました。これらはACTHを同時に投与することで、消失し、ACTH欠乏が副腎萎縮の主因であることが分かりました。さらに、ACTH欠乏が副腎に抗酸化酵素の減少と活性酸素種の蓄積を引き起こし、その結果として副腎細胞はミトコンドリア機能不全に陥り、細胞死を誘導することが明らかになりました。この研究成果は、副腎萎縮の予防や治療に新たな視点を提供するものと信じています。今後もさらなる研究を通じて、内分泌学の発展に貢献してまいります。この度の受賞にあたり、日頃からご指導頂いております小川佳宏教授、河村菜実子先生に心から感謝申し上げます。

 


東北大学 糖尿病代謝・内分泌内科学分野

遠藤 彰

 この度は、第97回日本内分泌学会学術総会におきまして、若手研究奨励賞という名誉ある賞を賜り、大変光栄に存じます。会長の長谷川奉延先生をはじめ、選考委員ならびに関係の先生方に心より御礼申し上げます。

 膵β細胞量制御機構は不明な点が多く、本研究では出産後の膵β細胞量減少に着目し、このメカニズムを検討しました。セロトニンシグナルを起点とし、CXCL10の増加によってマクロファージが誘引され、貪食により膵β細胞量減少を促進する、複数のステップによる膵β細胞量減少メカニズムを明らかにし、またこれらが出産後の糖代謝恒常性を維持する意味で重要な過程であることも見出しました。今回の受賞を励みとし、今後はより詳細な分子機構を解明していくことを目指しています。

 最後に、本研究をご指導頂きました片桐秀樹先生、今井淳太先生をはじめ、多くの共同研究者の先生方に、この場をお借りして心より感謝申し上げます。

 


東京大学医学部 産婦人科学教室

髙橋 望

 この度は第97回日本内分泌学会学術総会におきまして、若手研究奨励賞という栄誉ある賞を賜りまして大変光栄に存じます。選考委員ならびに関係された諸先生に深く御礼申し上げます。

 我が国における挙児年齢の高年齢化に伴う女性不妊症の増加は社会的な問題となってています。本研究では、加齢卵子において、CPEB1依存性に翻訳機構の異常を認め、卵子の質の低下を引き起こす原因の一端となっていることを明らかとしました。今回の受賞を励みとし、卵子における染色体異常発生機序の解明、予防的治療の開発を目指し、研究を遂行して参ります。

 最後に、ご指導いただきました原田美由紀先生、廣田泰教授、大須賀穣教授をはじめ、多くの医局の先生方、並びにUCSFのMarco Conti教授に、この場をお借りして心より感謝申し上げます。

 


横浜市立大学医学部 循環器・腎臓・高血圧内科学

田口 慎也

 この度は第97回日本内分泌学会学術総会におきまして、若手研究奨励賞という大変栄誉ある賞を賜りまして大変光栄に存じます。選考委員ならびに関係の諸先生方々に深謝申し上げます。

 近年皮膚と高血圧の関連が注目されており、皮膚の血管収縮や皮膚へのナトリウム蓄積が血圧を上昇させる可能性が示唆されておりますが、詳細な機序はほとんどわかっておりませんでした。受賞研究では、皮膚組織におけるレニン・アンジオテンシン系の亢進が皮膚血管収縮を増強させ血圧上昇に寄与する可能性があることを明らかにしました。一方でその分子メカニズムについては依然として十分に明らかになっておらず、今回の受賞を励みに、より一層研究の発展に努めて参ります。

 最後に、本研究においてご指導いただきました田村功一主任教授、涌井広道先生、小豆島健護先生をはじめ共同研究者の先生方に、この場をお借りし深く御礼申し上げます。

 


九州大学大学院医学研究院 病態制御内科学分野

福元 多鶴

 この度は、このような名誉ある賞を賜り、誠に光栄に存じます。会長の長谷川奉延先生をはじめ、選考委員、学会関係の諸先生方に心より御礼申し上げます。

 今回、副腎皮質内微小病変を発見し、その解析によりコルチゾール産生腫瘍の発生機構を解明しました。本研究成果は、副腎皮質腫瘍の発生機構と層構造の形成・維持機構に新たな知見を提供するものであり、今後のさらなる発展により、副腎皮質腫瘍の治療や副腎皮質機能低下の予防・治療に貢献できるよう努めたいと考えております。

 今回の受賞を励みとし、医学の発展に寄与できるようさらなる研究に精進してまいります。最後になりましたが、本病変の発見から本研究成果の発表にいたるまでの長い期間、多くの方々にたくさんのご指導ご協力と、温かい応援をいただきました。日頃よりご指導いただいております小川佳宏教授、諸先生方、共同研究者の先生方に、心より感謝申し上げます。

 


山口大学大学院医学系研究科 産科婦人科学講座

藤村 大志

 この度は、歴史ある日本内分泌学会学術総会におきまして、若手研究奨励賞という栄誉ある賞を賜り、大変光栄に存じます。会長の長谷川奉延先生をはじめ、選考委員並びに関係の諸先生方に深謝申し上げます。

 着床は、胚盤胞(胎児)が子宮内膜(母体)に接着・浸潤する非常に神秘的な現象の一つです。子宮内でダイナミックに起きているこの現象は通常目でみることはできず、生殖医療分野においてブラックボックスと化しています。我々は、独自に開発したオルガノイドと胚盤胞を共培養することで体外で一連の着床現象を再現し、タイムラプスイメージングを用いてその過程を可視化することに成功しました。この研究成果は着床メカニズムの解明に繋がるだけでなく、着床不全といった難治性不妊症治療の一助となることが期待されます。

 最後に、当研究室の杉野法広教授、田村功先生をはじめ、研究をご指導していただきました先生方に心より感謝申し上げます。

 


京都大学大学院医学研究科 糖尿病・内分泌・栄養内科学

村上 隆亮

 この度は第97回日本内分泌学会学術総会におきまして、若手研究奨励賞という栄誉ある賞を賜りまして大変光栄に存じます。会長の長谷川奉延先生をはじめ、選考委員ならびに関係の諸先生方々に深謝申し上げます。

 インスリノーマの診断は複数のモダリティを組み合わせて行われますがその診断能や侵襲性、患者負担などの課題があり、腫瘍機能を反映し検出にも優れる非侵襲的検査法が求められてきました。本研究では、GLP-1受容体に着目し核医学的な手法を応用することで、独自のPET用プローブを開発しました。また、このプローブを用いたPET/CTにて、インスリノーマ患者における責任腫瘍の同定が非侵襲的に可能であることを実証いたしました。今回の受賞を励みに、「質的・局在診断能を兼ね揃えた非侵襲的診断法」を多くの患者さんのもとに届けられるよう、より一層研究開発を進めていきたいと考えております。

 最後に、ご指導いただきました稲垣暢也先生、多くの共同研究者の先生方、また本研究に協力いただいた患者の皆様に、この場をお借りして心より御礼申し上げます。

 


東京慈恵会医科大学 生化学講座

吉田 彩舟

 この度は、第97回日本内分泌学会学術総会におきまして、若手研究奨励賞という栄誉ある賞を賜り、大変光栄に存じます。選考委員ならびに関係の諸先生方々に深謝申し上げます。

 内分泌の要である下垂体の組織形成機構は、シグナル分子や転写因子による制御として理解されてきました。本研究では、それらの上位に、細胞小器官である「一次繊毛」による制御機構が存在する可能性を見出しました。本成果は、一次繊毛の異常に起因した疾患(繊毛病)患者で観察される「下垂体機能低下症の病態メカニズムの理解」に貢献できると考えております。今回の受賞を励みに、一層の精進と研鑽を重ね、真理の追求と社会への貢献に努める所存です。今後とも、ご指導のほど何卒よろしくお願い申し上げます。

 最後に、本研究を進める上でご尽力頂きました吉田清嗣教授ならびに共同研究者の先生方に、この場をお借りして、心より感謝申し上げます。

 


千葉大学医学部附属病院 糖尿病代謝内分泌内科

類家 裕太郎

 この度は若手研究奨励賞という名誉ある賞を賜り、大変嬉しく存じます。学術総会会長の長谷川奉延先生、選考委員の先生方、学会関係者の方々に心より御礼申し上げます。

 また、私一人ではこのようなプロジェクトを行うことはできず、横手幸太郎先生、直接ご指導下さった鈴木佐和子先生、ラボのメンバーのおかげだと存じます。この場をお借りし感謝申し上げます。

 褐色細胞腫は2017年から全例、転移の可能性を有する潜在悪性とされ、言わば、「良性」とも「悪性」とも言えない立ち位置にいます。一方、2012年にStockwell先生らにより提唱された細胞死フェロトーシスは、一般的に良性疾患には組織障害を増悪させ、悪性腫瘍には増殖抑制的に作用すると言われています。

 「褐色細胞腫はどちらに転ぶのか?」という疑問に対し、今回、褐色細胞腫におけるフェロトーシスの主要な機序や腫瘍形成への影響などをお示し致しました。
 今回の受賞を励みに日々精進していきたいと存じます。

 

2018年度受賞者のコメント

2019年度受賞者のコメント

2023年度受賞者のコメント

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