日本内分泌学会

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教育・研究

若手研究奨励賞(YIA)受賞者コメント

最終更新日:2023年8月9日

第24回 2023年度(令和5年度)
日本内分泌学会若手研究奨励賞(YIA)受賞コメント

(所属は受賞当時)

京都大学大学院医学研究科

井上 浩輔

 この度は栄誉ある賞をいただき誠にありがとうございます。本研究で提唱したHigh-benefit approachを応用することで、疾患リスクのみならず治療効果の高い個人を効率的に同定することができ、結果として集団全体の治療効果を最大化することが可能となります。また、治療効果の低い個人に対しては別の効果的な治療戦略を検討し提供することで、限られた医療資源の適切な分配および健康格差の縮小にもつながることが予想されます。

 本研究では、経済学から生み出された最先端の機械学習モデルをどのように臨床医学のコンテキストに落とし込むかという点で、大変勉強になると同時に苦悩しました。私たちの提唱するHigh-benefit approachの社会・臨床実装に向けてその有用性を前向き研究においても検証し、さらなるエビデンスを蓄積できるよう、引き続き研究を進めていく所存です。今後ともよろしくお願いいたします。

 


九州大学大学院医学研究院病態制御内科学

岩橋 徳英

 この度は、第96回日本内分泌学会学術総会におきまして、若手研究奨励賞という名誉ある賞を賜り、大変光栄に存じます。会長の有馬寛先生をはじめ、選考委員ならびに関係の先生方に心より御礼申し上げます。

 原発性アルドステロン症は二次性高血圧の原因として最多であり、その発症機序解明は重要な課題です。アルドステロン産生細胞クラスター(APCC)はアルドステロン産生腺腫(APA)の前駆病変であると推定されています。本研究では、APCCのscRNA-seqおよび空間的トランスクリプトーム解析を行い、APCCからAPAへの進展経路をin silicoにて示しました。今回の受賞を励みとし、今後はより詳細な分子機構を解明していくことを目指しています。

 最後に、当研究室の小川佳宏教授をはじめ、日頃よりご指導頂いている共同研究者の皆様に、この場を借りて心から感謝申し上げます。

 


山梨大学大学院 総合研究部 医学域 糖尿病・内分泌内科学教室

大熊 英之

 この度は第96回日本内分泌学会学術総会におきまして、若手研究奨励賞を賜り、大変光栄に存じます。学術総会会長の有馬寛先生をはじめ、選考委員ならびに関係の諸先生方に厚く御礼申し上げます。

 これまで、肝臓より脂肪組織においてインスリン作用を高めることが肥満関連代謝障害を改善させる可能性が指摘されております。そこで、我々は肝臓より脂肪組織に高発現するインスリンシグナル構成分子かつ微小管捕捉因子として報告のあるPHLDB1に着目しました。この分子を全身で過剰発現させたマウスは、脂肪組織選択的にインスリン作用が活性化され、糖脂質代謝異常・脂肪肝の改善を認めました。また、このマウスは健康的な脂肪拡大の状態を呈しており、その機序としてPHLDB1の微小管捕捉因子としての細胞骨格シグナル調節機構が関与していることが分かりました。
今回の受賞を励みに今後は創薬も見越してさらなる研究の発展に努めたいと思っております。

 最後に、本研究においてご指導いただきました土屋恭一郎教授、教室員の先生方、ならびに共同研究者の先生方に心より御礼申し上げます。

 


九州大学病院/京都大学大学院医学研究科

小笠原 辰樹

 この度は第96回日本内分泌学会学術総会におきまして、若手研究奨励賞という栄誉ある賞を賜りまして大変光栄に存じます。選考委員ならびに関係された諸先生に深く御礼申し上げます。

 褐色細胞腫・パラガングリオーマ(PPGL)は遺伝的素因と関連が深いことは有名ですが、慢性的な低酸素環境への暴露もPPGL のリスク要因となり、例えばチアノーゼ性先天性心疾患患者では比較的高頻度にPPGLを併発します (CCHD-PPGL)。今回の私たちの研究では、多中心性腫瘍例の網羅的ゲノム解析を介して、CCHD-PPGLの腫瘍化メカニズムの一端を解明することができました。今回の受賞を励みに、PPGL発生機序解明のための研究を発展させるべくこれからも精進いたします。

 最後に、これまでご指導いただきました小川誠司教授、小川佳宏教授はじめ、お世話になりました先生方にこの場をお借りして心から感謝申し上げます。

 


京都医療センター 臨床研究センター 内分泌代謝高血圧研究部

加藤 久詞

 この度は第96回日本内分泌学会学術総会におきまして、若手研究奨励賞という大変栄誉ある賞を賜り、大変光栄に存じます。会長の有馬寛教授をはじめ、選考委員ならびに関係の諸先生方に心より御礼申し上げます。

 現在までにNASHの進展機序の詳細や予知指標は不明であり、有効な治療薬は未確立です。本研究では、後天性肥満モデルやNASHモデルのマウスを用い、植物由来フラボノイド・タキシフォリンが、抗肥満作用・糖脂質代謝改善作用及びNASH予防・治療効果があること、さらにNASHから肝がんへの進展予防効果を認めました。その機序として褐色脂肪細胞の活性化やFGF-21上昇作用等を見出しました。今回の受賞を励みとし、今後タキシフォリンの作用標的の解明と臨床応用、さらに肥満・NASH治療法の開発を目指し、より一層努めて参ります。

 最後に、本研究をご指導頂きました浅原哲子先生、菅波孝祥先生をはじめ、ご指導頂きました多くの共同研究者の先生方に、この場をお借りして心より感謝申し上げます。

 


東北大学大学院医学系研究科 糖尿病代謝内科学分野

菅原 裕人

 この度は第96回日本内分泌学会学術総会におきまして、若手研究奨励賞という大変栄誉ある賞を賜りまして大変光栄に存じます。選考委員ならびに関係の諸先生方々に深謝申し上げます。

 膵β細胞増殖機構の解明は糖尿病を治す治療につながることから、活発に研究が進められております。本研究では、わずかな血液サンプルの解析により、膵β細胞増殖を評価できる方法を開発しました。これまでの組織学的検討と比較し、大幅に実験資源を削減できるだけでなく、同一個体において経時的な観察が可能になることから、より高感度に増殖を検出できると考えております。今回の受賞を励みにし、今後はこの方法を用いた膵β細胞増殖因子の探索に努めて参ります。

 最後に、本研究においてご指導いただきました片桐秀樹教授、今井淳太先生をはじめ共同研究者の先生方にこの場をお借りし、深く御礼申し上げます。

 


名古屋大学大学院医学系研究科 糖尿病・内分泌内科学/住友ファーマ株式会社

多賀 詩織

 この度は第96回日本内分泌学会学術総会におきまして、若手研究奨励賞という名誉ある賞を賜り、大変光栄に存じます。会長の有馬寛教授をはじめ、選考委員ならびに関係の先生方に深謝申し上げます。

 下垂体機能低下症に対してホルモン補充療法が行われていますが、ホルモンの必要量は状況に応じて変動するため、現行の治療法では十分に対応できず、生命予後に影響を及ぼす場合があります。本研究では、下垂体再生医療の実現に向けて、ヒトiPS細胞を用いた下垂体の分化誘導法および精製法を開発し、モデル動物への移植後の長期有効性と環境に応答する分泌制御能とを実証しました。今回の受賞を励みに、下垂体の再生医療等製品を一日でも早く患者様のもとに届けられるよう、より一層研究開発を進めていきたいと考えております。

 最後に、ご指導いただきました有馬寛教授、須賀英隆先生ならびに共同研究者の先生方に、この場をお借りして心より御礼申し上げます。

 


群馬大学大学院医学系研究科 応用生理学分野

二ノ宮 彩音

 この度は名誉ある若手研究奨励賞を賜り大変光栄に存じます。会長の有馬寛先生をはじめ、選考委員会の先生方に深謝申し上げます。

 先天性甲状腺機能低下症では、適切な治療がなされない場合において小脳失調を来すことが知られています。これまでの基礎研究では、マウスモデルを用いて発達期の甲状腺ホルモン不足が小脳の形態発達に遅延をもたらすことが報告されており、興味深いことにこの遅延は成長とともに消失する一方、小脳失調は残ることがわかっています。しかし、長年そのメカニズムは不明なままでした。受賞研究では、内分泌学と神経科学を結びつけ、甲状腺ホルモンの小脳の長期可塑性における役割を明らかにしました。今回の受賞を励みに、基礎研究の立場から内分泌学の発展の一端を担えるよう精進して参ります。

 最後に、本研究においてご指導いただきました鯉淵典之教授、天野出月先生をはじめ共同研究者の先生方にこの場をお借りし、深く御礼申し上げます。

 


国立成育医療研究センター 分子内分泌研究部

服部 淳

 この度は第96回日本内分泌学会学術総会におきまして若手研究奨励賞を頂き、誠にありがとうございました。

 下垂体性巨人症のうち小児期以前に発症する症例で成長ホルモン放出ホルモン (GHRH)過剰が関与している可能性は古くから指摘されていましたが、その病因は未解明でした。今回私達は、乳児期以前から過成長を認めていた巨人症一例の遺伝学的解析やCRISPR-Cas9技術により作成したモデルマウス解析を通し、巨人症の病因の一つとしてGHRH遺伝子異常が存在することを明らかにしました。研究室の仲間や共同研究者の方々の多大なお力添えなくしてこの研究成果はありえませんでした。

 私は小児の成長に関する研究のほか、身体的性 (性分化、性成熟)やジェンダーのゆらぎが生じるメカニズム解明を目指した研究を行っております。今回このような形で賞を頂いたことを契機に自身の研究への責任感を新たにし、今後の研究に全力を注ぎます。

 


東京大学大学院医学系研究科 糖尿病・代謝内科

三浦 雅臣

 この度は、第96回日本内分泌学会学術総会におきまして、若手研究奨励賞を賜り、誠に光栄に存じます。私事ではございますが、出生地でもあります愛知県での学術総会にてこのような賞をいただくことができ、感無量でございます。学術総会会長の有馬 寛先生、選考頂きました諸先生方に厚く御礼申し上げます。また、日頃よりご指導頂いております山内 敏正先生、五十嵐 正樹先生をはじめ、多くの先生方に深く感謝申し上げます。

 私たちは、腸管上皮や腸管内分泌細胞におけるSIRT1の役割について、ノックアウトマウスや腸管オルガノイドを用いて解明を行ってまいりました。今後も、長寿遺伝子とも呼ばれるSIRT1や、老化の生理的な意義や現象について、さらに研究を深めていければと考えております。

 今回の受賞を励みに一層の精進と研鑽を重ね、社会に貢献することを目指す所存でございます。今後ともご指導のほど何卒よろしくお願い申し上げます。

 

2018年度受賞者のコメント

2019年度受賞者のコメント

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