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内分泌代謝疾患で治療中の患者さんへ 新型コロナウイルス(COVID-19)への対応について

最終更新日:2020年4月21日

内分泌代謝疾患で治療中の患者さんへ

一般社団法人 日本内分泌学会


新型コロナウイルス(COVID-19)への対応について

 2020年4月18日現在新型コロナウイルス感染拡大防止のため、全国に緊急事態宣言が出ております。このような状況の中で内分泌代謝疾患の患者さんの新型コロナウイルス(COVID-19)への対応についての注意点を取りまとめました。
下記の点をしっかり守って頂き、自分の健康は自分自身で守る意識を持つことが大切です。
 日本内分泌学会はこの新型コロナウイルスの1日も早い収束と皆様のご健勝をお祈りしております。
 

1)全ての患者さん、ご家族における注意点

  • 不要不急の外出を控え、できる限り人との接触を避けて下さい。これはあなた自身だけではなく家族を守り、新型コロナウイルスの患者さんが急激に増加することによる医療崩壊を防ぐ最も重要な手段であることをご理解下さい。
  • 外出や人と会話の際には、マスクをしてソシアルディスタンス(1m以上できれば2m)を保ちましょう。
  • 3密(密閉、密集、密接)の空間を避けて下さい。
  • 室内では定期的に換気をして下さい。
  • 外出時にはマスクを着用して顔を触らないようにしましょう。
  • こまめに石鹸による手洗い、うがい、消毒を徹底して下さい。特に飲食の前には必ず20秒以上手洗いを行なって下さい。
  • 規則正しい生活、バランスのとれた食事、十分な睡眠に気をつけて免疫力を保ちましょう。
  • ご自分の病気が落ち着いている場合には、担当医と必ず相談の上、安全な範囲で来院回数を減らしましょう。また可能であれば、電話診、FAXでの処方箋の送信についても相談してみましょう。特に指示されていない限り、処方されている薬は必ず服用を継続して下さい。
  • 新型コロナウイルス感染を疑った時の対応には下記のサイトを参考にして下さい。また発熱や咳、呼吸困難、味覚嗅覚障害など疑わしい症状がある時には、他人に移さないようにマスクを着用し咳エチケットなど最大限の注意を払いましょう。

新型コロナウイルスについてのQ&A(厚生労働省)

 

2)糖尿病、高血圧の患者さんにおける注意点

糖尿病、高血圧をお持ちの場合には、新型コロナウイルスに罹った場合に重症化する可能性が指摘されています。

  • 感染予防が最も大切です。上記1)のルールをより厳守して感染予防に努めましょう。
  • 薬剤を自己判断で中止、調節したり、切れてしまうのは非常に危険ですので注意しましょう。
  • 運動について、日常生活における「屋外での運動、散歩」は制限されておらず継続が可能です。人混みを避けソシアルディスタンスを保てばウォーキングは安全ですので、積極的に行いましょう。
  • 自宅待機中には、保存食品、間食の増加、運動不足などで塩分摂取量や体重の増加によって糖尿病、高血圧が悪化しがちです。体重は毎日測って増加しないように食事には十分注意して下さい。可能な方は家庭血圧も毎日測定し、高い血圧が持続したり、血圧の変動が激しい時にはかかりつけ医に相談しましょう。
  • 糖尿病の患者さんが万一感染した場合にはシックデイとしての対応が必要です。飲まれている薬剤をどうすれば良いか、あらかじめかかりつけ医に確認しておきましょう。シックデイの対応については下記のサイトが参考になります。

国立国際医療研究センター糖尿病情報センターホームページ


3)副腎機能低下症(下垂体性、原発性)で副腎皮質ホルモンの補充療法を受けておられる患者さんにおける注意点

副腎機能低下症で副腎皮質ホルモン(コートリル®、プレドニン®、デキサメサゾン®など)を服用中の患者さんは万一感染した場合に、適切に副腎皮質ホルモンが補充されないと重症になる可能性がありますので、下記の点に注意して下さい。

  • 感染予防が最も大切です。上記1)のルールをより厳守して感染予防に努めましょう。
  • 非専門医からステロイドを飲んでいると感染を起こしやすいと言われることがありますが、補充療法で服用されている場合にはそのようなことはありませんので、誤解して自己判断で量を調節したり中断してはいけません。
  • 普段の副腎皮質ホルモンは体調によらず、絶対に中断してはいけません。そして必ず予備のお薬とともにシックデイの時のために頓服のお薬をもらっておきましょう。
  • 新型コロナウイルスやインフルエンザ、急性胃腸炎などに感染したシックデイの場合には、副腎皮質ホルモンのストレス時の増量が必要です。通常2-3倍に増量して服用しますので、具体的な方法については普段からかかりつけ医に確認しておきましょう。特に新型コロナウイルスの場合には急激に状態が悪化する場合もありますので、早めの増量が望ましい可能性があります。具体的には症状なども含めて担当医と相談して下さい。
  • 嘔吐などで副腎皮質ホルモンの内服が難しい時、胃腸炎などで嘔吐、下痢がひどい時には点滴での投与が必要ですので、すぐにかかりつけの病院に相談して下さい。
  • 新型コロナウイルスを疑って検査、受診をする場合には、他の疾患の有無とともに、必ず副腎機能低下症を持っていること、副腎皮質ホルモンの補充療法を行なっていることを医療機関に伝えましょう。


4)クッシング症候群で治療中の患者さんにおける注意点

コントロールされていないクッシング症候群の患者さんは一般的に免疫機能が低下しておおり感染に弱い状態です。下記の点に注意して下さい。

  • 感染予防が最も大切です。上記1)のルールをより厳守して感染予防に努めましょう。
  • 治療後で副腎皮質ホルモンを服用中の場合には上記の3)の注意点を守って下さい。
  • 新型コロナウイルスを疑って検査、受診をする場合には、他の疾患の有無とともに、必ずクッシング症候群で治療中であることを医療機関に伝えましょう。


■ 参考情報
厚生労働省:
新型コロナウイルス感染症について
新型コロナウイルスについてのQ&A

日本医学会連合: COVID-19関連サイト集

日本感染症学会: 新型コロナウイルス感染症

日本環境感染学会: 新型コロナウイルス(2019-nCoV)感染症への対応について

日本糖尿病学会: 新型コロナウイルス(2019-nCoV)感染症への対応について

日本高血圧学会: 新型コロナウイルスの拡大に伴う緊急事態宣言下で特に高血圧患者の皆様に知っておいて頂きたいこと(pdf)

American Association of Clinical Endocrinologists Position Statement
Coronavirus (COVID-19) and people with adrenal insufficiency and Cushing’s syndrome(英語)

 

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