日本内分泌学会

English
  My Web
(会員専用ページ)
お知らせ/Hot Topics !

日常臨床におけるアルドステロン測定標準化に関する運用指針(第二版)

最終更新日:2020年2月18日

重要なお知らせ


日常臨床におけるアルドステロン測定標準化に関する運用指針(第二版)
—SPAC-S(RIA) キットの供給停止に向けた対応についてー

日本内分泌学会
アルドステロン測定の標準化検討委員会


本公告は、前回の「日常臨床におけるアルドステロン測定標準化に関する運用指針(第一版)1)」についての続報である。

原発性アルドステロン症のスクリーニングに適用されている診断基準は、SPAC-S(RIA)キットを用いて得られた数値で定められている2)

一方、多数の検体処理に向けてnon RIA法による測定技術が開発されてきた現状において、特に原発性アルドステロン症のスクリーニングで、用いる測定法により診断基準が異なる可能性が危惧されていた。そこで日本内分泌学会では、日常臨床におけるアルドステロン測定の標準化を目的として、「アルドステロン測定の標準化検討委員会」を設置して基礎検討を行ってきた。これにより、国立研究開発法人産業技術総合研究所計量標準総合センターにおいて、ISO GUIDE 34:2009(JIS Q 0034:2012)およびISO/IEC 17025:2005(JIS Q 17025:2005)に適合するマネジメントシステムに基づくアルドステロン実試料認証標準物質として、基準測定操作法であるID-LC-MS/MSで認証値を決定した「アルドステロン分析用ヒト血清(NMIJ CRM 6402)」を世界に先駆けて設定した3)

その結果、本認証標準物質は、RIA法およびnon RIA法の校正基準として用いる事が可能となり、これにより臨床検体の測定値は、SIにトレーサブルな測定値が得られることとなった。
本アルドステロン分析用ヒト血清(NMIJ CRM 6402)の適用範囲は、RIA法およびnon RIA法の日常検査法による血清中アルドステロン測定の校正に用いるほか、キットのロット間の互換性の維持、測定法や測定システムの妥当性確認や検証および測定法間のコミュータビリティ(互換性)の維持などである。

SPAC-RIAキットの供給停止への対応
今般、SPAC-RIAキットの供給停止(2021年3月末)になることから、アルドステロン測定のキットについての対応は以下のごとくする。
本運用指針(第一版)で指示したごとく、PAスクリーニングのカットオフ値(ARR;Aldosterone- Renin Ratio、200pg/ml/ng/ml/hr以上)を適用する測定試薬のアルドステロン測定キット(測定システムも含む)については、国立開発法人産業技術総合研究所計量標準総合センターの認証標準物質である「アルドステロン分析用ヒト血清(NMIJ CRM 6402)を用いてトレーサビリティを確保したのち、従来の臨床判断値が継続可能なように補正したものとする。そのための手順の例を以下に示す3)。
なお、本手順の例の適用キットについて、当該文献1)の運用指針(第一版)2018年10月28日公開以前に認可されたキットは、当該製造販売業者の手順によるものとする。

(1) アルドステロン分析用ヒト血清(NMIJ CRM 6402)による校正
当該キットのキャリブレーターで検量を行ったのちに、アルドステロン分析用ヒト血清(NMIJ CRM 6402)を測定試料として測定し、得られた測定値と認証値から関係式を求め、この関係式をY=Xになるように補正式を求め、この補正式を当該キットに適用する。
なお、NMIJ CRM 6402に対する補正式の適用方法については、当該キット
の製造販売業者によるものとする。

(2) 臨床検体を用いた臨床評価試験
臨床検体を用いた臨床評価試験は、アルドステロン分析用ヒト血清(NMIJ CRM 6402)で校正した比較対照法であるLC-MS/MSを対照にして、臨床検体を用いて実施し、比較対照法との相関が、当該キットの測定範囲内で確保されていることを確認する。

(3) SPAC-RIAキットに対する補正
上記(2)の状態で、SPAC-RIAキットとの相関分析を臨床検体を用いて実施し、得られた測定値から、SPAC-RIAキットの測定範囲内の測定値を用いて関係式を求め、本関係式を用いて現状の臨床判断値が適用可能なように補正式を設定する。本補正式は、SPAC-RIAキットが供給停止後も、現状の臨床判断値が適用される間は継続して用いる。
なお、SPAC-RIAキットに対する補正式の適用方法については、当該キット
の製造販売業者によるものとする。

文献
1) 日本内分泌学会アルドステロン測定の標準化検討委員会.日常診療における
アルドステロン測定標準化に関する運用指針(第一版)

2)T.Nishikawa, M.Omura, F.Satoh, H.Shibata, K.Takahashi, N.Tamura, A.Tanabe: Guidelines for the diagnosis and treatment of primary aldosteronism -The Japan Endocrine Society 2009-.Endocr J 2011; 58,711-721.

3) T. Nishikawa, M. Omura, M. Kawaguchi, A. Takatsu, F. Satoh, S. Ito, I. Kurihara, H. Itoh, T. Yanase, H. Shibata, Y. Oki, M. Naruse, K. Sakurai, H. Sasamoto, K. Kuwa:Calibration and evaluation of routine methods by serum certified
 reference material for aldosterone measurement in blood. Endocr J 2016; 63, 1065-1080.

 

このページの先頭へ