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子宮内膜症

最終更新日:2026年9月8日NEW

はじめに

子宮内膜症は子宮筋腫や子宮腺筋症と共に生殖可能年齢の女性に生じる代表的な婦人科疾患です。

子宮内膜症とは

子宮の内側にある子宮内膜(あるいはそれに似た組織)が、子宮以外の場所(異所性)に入り込み、増殖してしまうことにより様々な症状が引き起こされる病気です。最も多い発生部位は腹膜と卵巣ですが、骨盤内の様々な臓器(膀胱、尿管、直腸、S状結腸、虫垂、卵管など)に加えて、骨盤外の様々な臓器や部位(外陰部、臍、肺、胸膜、手術創、腎臓)にもみられることがあります。子宮以外にできた内膜組織も、月経周期に合わせて出血します。その為、炎症や周囲の組織との癒着を起こし、痛みの原因になります。卵巣に子宮内膜症が発生すると、月経毎に出血が卵巣内に貯まり卵巣嚢腫が出来ます。この卵巣嚢腫の内容物は古い血液のためチョコレート様の液体となり、チョコレート嚢腫とも呼ばれています。子宮筋層(子宮平滑筋)の中に子宮内膜様の組織が存在する疾患を子宮腺筋症と言います。

この病気の患者さんはどのくらいいるのですか?

生殖年齢の女性(思春期~閉経期)の5~10%が子宮内膜症を持っていると言われています。

この病気はどのような人に多いのですか?

月経痛の強い方、特に思春期以降月経痛がだんだんひどくなって来た方は子宮内膜症の可能性が高いです。便通の異常、下血、喀血などの症状が月経時に出現あるいは増強する場合も子宮内膜症が疑われます。

この病気の原因はわかっているのですか?

子宮内膜症のはっきりした原因は完全には解明されていませんが「月経血逆流説」という有力な説があります。月経血の大部分は、腟を通じて体外に排出されますが、一部は卵管を通じて、お腹の中(骨盤内)に逆流します。月経血中に存在する剥脱した子宮内膜組織や細胞が、この逆流月経血とともに骨盤内に運ばれ、骨盤内の臓器や組織に付着し育つことで、子宮内膜症になると言われています。これが現在最も有力な原因仮説です。その他にも化生説、転移説、幹細胞説などがあります。一つの説だけで、子宮内膜症の全てを説明することは出来ません。

この病気は遺伝するのですか?

現時点では、遺伝性の病気ではない、とされています。ただし、子宮内膜症になりやすい体質が遺伝する可能性は指摘されています。

この病気ではどのような症状がおきますか?

月経時の下腹痛や腰痛などの月経痛、月経時以外の下腹部痛や腰痛、また性交痛や排便痛などの疼痛症状が主体です。また子宮内膜症は不妊症の原因にもなります。腸、膀胱、あるいは肺などの様々な臓器に広がった場合は、便通の異常、下血、血尿、喀血などの症状が月経時に出現あるいは増強することがあります。

この病気にはどのような治療法がありますか?

月経痛などの疼痛に対しては、非ステロイド系消炎鎮痛剤が先ず用いられます。鎮痛剤が無効の場合など状況に応じて、様々なホルモン剤(プロゲスチン製剤、低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤、GnRH [ゴナドトロピン放出ホルモン] アゴニスト製剤・アンタゴニスト製剤、ダナゾールなど)による薬物療法や病変を摘出・焼灼あるいは癒着を剥離する手術が行われます。なお、不妊症に対しては、原則として薬物療法は行われません。不妊症には手術も考慮されますが、特にチョコレート嚢腫の場合は、嚢腫摘出手術により卵巣機能が低下する可能性が有るなどの理由から、体外受精などの生殖補助医療が優先的に行われることも多いです。

この病気はどのような経過をたどるのですか?

子宮内膜症は女性ホルモンであるエストロゲンの影響をうけ進展・増悪しますので、月経がある限り、多くの内膜症は進行します。特に卵巣ではしばしばチョコレート嚢胞が出来て、子宮、卵巣、卵管、腸管などとの間で癒着が生じ、最終的には骨盤内のスペースが消失するほど骨盤内臓器の癒着がひどくなることもあります。ただし、閉経すれば内膜症の病勢は止まるので、関連する様々な症状は消失あるいは改善されます。一定のサイズを超える卵巣チョコレート嚢胞は稀に癌化することがあるので、症状が無くても手術で摘出するか定期的なフォローアップが必要になります。
 

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