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女性の低体重/低栄養症候群

最終更新日:2026年9月8日

女性の低体重/低栄養症候群とは

女性の低体重/低栄養症候群(Female Underweight/Undernutrition Syndrome:FUS)は、特に若い女性の過度な痩身志向などを背景として生じる低体重や低栄養により、月経異常、骨量低下、筋肉量の減少、不妊など、さまざまな身体的・精神的健康障害を包括的に捉える新しい疾患概念です。女性の健康と、「やせていることが望ましい」という社会的風潮やボディイメージの問題に対する理解を深めることを目的として、2025年に提唱されました※。若い頃から適切な栄養状態を維持することは、将来の骨粗鬆症やフレイルをはじめとする健康障害の予防にも重要と考えられています。
※2025 肥満研究 Vol.31 No.2 P.55-61

この病気の患者さんはどのくらいいるのですか?

女性の低体重/低栄養症候群(Female Underweight/Undernutrition Syndrome:FUS)は、2025年に提唱された新しい疾患概念であるため、わが国における有病率を調べた大規模な調査はまだありません。一方、日本人女性では低体重(BMI18.5未満)の割合が、特に20歳代で約20~25%と高く、国際的にみても高い水準にあります。しかし、低体重のすべての女性がFUSに該当するわけではなく、低栄養やそれに伴う健康障害の有無を含めて総合的に評価することが重要です。今後、FUSの実態や有病率についての研究が進むことが期待されています。

この病気はどのような人に多いのですか?

女性の低体重/低栄養症候群(FUS)は、主に18歳以上の閉経前女性を対象として提唱された新しい疾患概念です。実際よりも自分を太っていると感じるボディイメージの歪みや、過度な痩身願望を背景として、低体重や低栄養となった方に多いと考えられています。一方、神経性やせ症などの摂食障害や、甲状腺機能亢進症、悪性腫瘍など、ほかの病気が原因で低体重となっている場合はFUSには含まれません。なお、現時点では閉経後女性や男性は対象とされていませんが、今後の研究の進展により、対象となる人の範囲や疾患概念が見直される可能性があります。

この病気の原因はわかっているのですか?

原因についてはまだ十分に解明されていませんが、体質的要因に加え、心理的・社会的要因や社会経済的要因など、さまざまな要因が関与すると考えられています。中でも、「やせていることが望ましい」とする社会的風潮や過度な痩身願望は、重要な背景因子と考えられています。FUSは本人の努力不足や意志の弱さによるものではなく、個人を取り巻くさまざまな要因が複雑に関与して発症すると考えられています。近年では、肥満症や2型糖尿病の治療薬であるGLP-1受容体作動薬などが美容目的で使用される例もみられますが、不適切な使用により必要な栄養摂取が不足し、低体重や低栄養につながる可能性も指摘されています。FUSとの関連については、今後さらに検討が進むことが期待されています。

この病気は遺伝するのですか?

女性の低体重/低栄養症候群(FUS)は、2025年に提唱された新しい疾患概念であり、現時点では遺伝性について明らかになっていません。ただし、体格や代謝、食行動などには生まれ持った体質的な要因が関与する可能性があり、今後さらに研究が進むことが期待されています。

この病気ではどのような症状がおきますか?

FUSは単に体重が少ない状態ではなく、低体重や低栄養に伴う全身性の健康障害を問題とする概念です。FUSでは、低体重や低栄養により、全身にさまざまな健康障害が生じる可能性があります。代表的なものとして、筋肉量や筋力の低下、骨粗鬆症や骨折リスクの上昇、月経異常、それに伴う妊娠・出産への影響などがあります。また、栄養不足により貧血、創傷治癒の遅延、免疫機能の低下、味覚障害などがみられることがあります。さらに、低栄養状態では、耐糖能異常、低T3症候群、脂質異常症などの代謝異常を伴うことがあります。精神・神経面では、倦怠感、睡眠障害、抑うつ、不安、集中力低下などが生じることがあり、冷え、低血圧、便秘、皮膚や毛髪の変化など、日常生活に関わる症状がみられる場合もあります。

この病気にはどのような治療法がありますか?

FUSへの対応には、「原因や背景に応じた個別的なアプローチ」と「社会・教育レベルでの包括的な取り組み」の両方が必要です。体質的にやせている場合でも、低栄養や骨量低下などの健康リスクがないか確認することが重要であり、必要に応じて骨密度測定、血液検査、栄養指導などが行われます。過度な痩身志向が背景にある場合には、正しいボディイメージを形成するための教育や支援が重要です。具体的には、学校教育などを通じたヘルスリテラシーの向上、体型の多様性への理解、メディア情報を適切に評価する力の育成、バランスのよい栄養摂取の重要性についての啓発などが挙げられます。また、経済的・社会的な背景により十分な栄養摂取が困難な場合には、自治体や社会福祉サービスなどによる支援も重要となります。

この病気はどういう経過をたどるのですか?

FUSは2025年に提唱された新しい疾患概念であり、現時点では長期的な経過や予後については十分に明らかになっていません。しかし、低体重や低栄養が持続すると、さまざまな健康障害を生じるリスクが高まります。若年女性にみられる摂食障害とは異なる概念ですが、低体重・低栄養に伴う健康への影響として、月経異常や妊娠・出産に関わる問題、骨量低下などが懸念されます。また、高齢期にはフレイルやサルコペニアにつながり、健康寿命の短縮に影響する可能性があります。そのため、特に若年女性では、将来の骨粗鬆症やフレイルを予防する観点からも、早期に低体重・低栄養に気づき、適切な栄養管理や生活改善につなげることが大切です。
 

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