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MODY

最終更新日:2021年3月22日

MODY(maturity onset diabetes of the young)

MODYとは若年発症する肥満を伴わない糖尿病の一種で、若年発症成人型糖尿病とも言われます。日常診療では気付かれず、1型や2型糖尿病として治療されている事も多いですが、家族歴に着目し、遺伝子検索をする事が診断の鍵となります。1975年にTattersallとFajansによって提唱された疾患概念で、オリジナルの定義は①25歳未満で糖尿病と診断され、②同胞の約半数に糖尿病を認め、③少なくとも3世代に糖尿病を認めるという3条件を満たすものです。

この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

わが国では大谷らの報告によると、25歳未満での糖尿病診断例の11.5%がMODYといわれていますが、英国からの報告では糖尿病全体の2%程度といわれています。最も頻度が高いのはMODY3です。

この病気はどのような人に多いのですか

2型糖尿病のリスクとなる生活習慣とは無関係に、家族内に25歳未満で若年発症した、肥満のない1型ではない糖尿病患者が多く存在する人は可能性が高いといえます。

この病気の原因はわかっているのですか

MODYは単一遺伝子疾患として発症する糖尿病です。表に挙げた遺伝子が原因で発症することが分かっています。インスリンの転写因子など膵β細胞の機能維持に重要な原因遺伝子が多く、現在12種類の遺伝子が同定されています(表)。

この病気は遺伝するのですか

常染色体優性遺伝の形式で遺伝します。したがって、両親のうち一人がMODYであれば、その子供は2分の1以上の確率でMODYを発症する事になります。

この病気ではどのような症状がおきますか

学校の検尿で見つかるケースが多いです。学校検尿で発見された症例で、肥満が無く、両親のいずれかが糖尿病である場合はMODYの可能性が高いです。また、MODY3やMODY5では糖尿病ケトアシドーシスで発症するケースもあります。病態のメインはインスリン抵抗性よりもインスリン分泌能の低下にあります。

この病気にはどのような治療法がありますか

<インスリン療法>
インスリン療法が治療の基本となります。MODYでは肥満例が少なく、インスリン分泌能が低下しているため、インスリン療法が選択される事が多いです。MODYの中にもインスリン分泌能が保たれているケースもありますので、年齢を考慮し薬物療法の選択も可能です。

<薬物療法>
スルホニル尿素薬に対する反応が高いことが知られています。MODY1,3ではインスリンからスルホニル尿素薬への切り替えが可能なこともあり、遺伝子診断による治療選択が出来ます。最近最も使用されているインスリン分泌促進薬であるDPP-4阻害薬はMODYに投与した報告がありませんので、慎重に使用する必要があります。

<遺伝カウンセリング>
遺伝子診断を行なう以前に、遺伝カウンセリングを実施する必要があります。遺伝カウンセリングは、疾患と遺伝・遺伝子の関係、子への遺伝のリスクといった医学的情報のみではなく、心理的・社会的支援も行なわれます。

この病気はどういう経過をたどるのですか

他の糖尿病と同様に、厳格に血糖をコントロールすれば、合併症なく糖尿病ではない人と同じような生活が出来ます。しかし、血糖コントロールを怠れば、種々の血管合併症が発症・進展します。

また、MODY患者の子は2分の1の確率でMODYとなり、子の糖尿病を早期に発見し、早期介入が重要である事を知っておく必要があります。

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