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先天性骨系統疾患

最終更新日:2019年11月9日

先天性骨系統疾患とはどんな病気でしょうか?

先天性骨系統疾患とは、骨や軟骨などの骨格を形作る組織の障害により、骨格の異常をきたす疾患の総称名です。先天性骨系統疾患の数は非常に多く、450以上あります。先天性骨系統疾患は異骨症と骨軟骨異形成症の2つのカテゴリーに大別されます。なお、"骨"については「くる病」の項を参照してください。

異骨症は、骨(あるいは軟骨)がまだ出来上がる前の状態の限られた場所の形成異常です。したがって、異骨症は妊娠の早い時期におこる疾患で、生まれてから障害が進行することはありません。たとえば、指に限られた疾患である多指症や、頭と指に限られた疾患である頭蓋縫合早期癒合症が代表です。

一方、骨軟骨異形成症は骨・軟骨の成長・分化・機能の障害により、全身の骨の変化や障害をきたす疾患の総称です。部位による強弱があるとしても、全身の骨が障害されます。生まれた後も、年齢とともに骨変化が重症化していくのが一般的です。骨軟骨異形成症の代表は骨形成不全症です。

先天性骨系統疾患の原因は何でしょうか?

先天性骨系統疾患の多くが遺伝子1つの変化による疾患です。近年の分子生物学および遺伝学の発展により、それぞれの骨系統疾患の原因が次々と発見されています。

骨形成不全症とはどのような病気でしょうか?

先天性骨系統疾患の中でも比較的頻度が高く、遺伝子1つの変化による疾患です。骨形成不全症は全身の骨が弱く、ごく軽い外傷により簡単に骨折をしてしまいます。歯の形成が悪く虫歯になりやすい、耳の聞こえが良くない、眼の白目の部分が青くなる(青色強膜といいます)などもおきることがあります。骨の主要な成分である1型コラーゲンの量が少ない、あるいは質的に弱いことにより発症します。一生のうちに一回も骨折を起こさない非常に軽いものから、生まれて比較的すぐに死に至るものまで、重症度には大きな幅があります。1家族のなかに何人もの骨形成不全症の方がいることもありますが、同じ家族の中でも重症度に幅があることが知られています。

骨形成不全症とはどのように診断されますか?

骨形成不全症は骨が折れやすいという症状と骨レントゲン所見から診断されます。通常の血液・尿検査で診断することはできません。DXA(デキサ)法とよばれる、簡単な骨密度測定が骨形成不全症の診断に比較的有用です。しかし、軽度の骨形成不全症の診断そのものはしばしば困難で、遺伝子1つの変化を確認する"遺伝子検査"のみで診断されることもあります。

骨形成不全症はどのような経過をたどりますか?

一般的には、出生後の骨折回数は乳児期や歩行の不安定な2~3歳、さらに運動量の増加する小学生低学年で多いです。しかし、思春期年齢以降になると骨折回数は減少します。大人になると、骨の痛み、脊柱の変形による呼吸機能障害、心臓の弁の異常による心不全、などをおこすこともあります。骨の弱さは成人後も継続していますので、妊娠・出産や加齢によって骨がさらに弱くなることが知られています。

骨形成不全症の治療にはどのようなものがありますか?

パミドロン酸二ナトリウムをはじめとするビスフォスフォネートと総称される製剤の投与により、骨を強くする治療が広く行われるようになりました。治療によって骨密度の増加、骨の痛みの減少、骨折回数の減少、骨の変形の予防に関して効果があります。本邦ではパミドロン酸二ナトリウムの骨形成不全症への適応が、2014年に承認されています。

骨折してしまった際には、整形外科医によるギブス固定、あるいは手術による固定、なども行われることがあります。

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