日本内分泌学会

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早発卵巣不全

最終更新日:2019年11月9日

早発卵巣不全(早発閉経)とは

40歳未満で卵巣機能が低下して無月経(月経が3ヶ月以上無い状態)となった状態です。早発卵巣不全には、永久に月経が停止するタイプ(早発閉経)と、卵巣に卵胞が少数存在するため非常に低い頻度ながらも卵胞発育や排卵が起こるタイプの2つが有ります。ただし、両者の鑑別は困難です。

この病気の患者さんはどのくらいいるのですか?

100人に約1人の割合でいると言われています。

この病気はどのような人に多いのですか?

卵巣の手術、抗がん剤治療、放射線治療により卵巣の機能が低下する場合がありますので、このような経験の有る人には多くなります。橋本病や全身性紅斑性狼瘡(SLE)などの自己免疫疾患に合併することもあります。

この病気の原因はわかっているのですか?

卵巣の手術、抗がん剤治療、放射線治療により卵巣機能が低下する外的な原因に加えて、染色体や遺伝子の異常、あるいは免疫のバランスが崩れて起きるなどの原因が考えられています。喫煙も卵巣機能を低下させます。しかし、早発卵巣不全の多くは原因不明です。

この病気は遺伝するのですか?

一部に遺伝するものも有りますが、早発卵巣不全の多くは遺伝性ではありません。

この病気ではどのような症状がおきますか?

月経不順が先行することが多く、最終的に無月経になります。顔面紅潮(ホットフラッシュ)や発汗などの更年期症状が出現することもあります。妊娠は極めて難しく、最も難治な不妊症になります。無月経を長期間放置すると、エストロゲンの欠乏・低下により、骨密度が低下して骨折しやすくなる、心臓や血管に動脈硬化などの異常が起きやすくなる、など全身にも影響を及ぼします。

この病気にはどのような治療法がありますか?

挙児希望の有無にかかわらず、ホルモン補充療法(カウフマン療法など)が必要になります。挙児希望の有る方に対して、様々な排卵誘発法や治療が試みられていますが、いずれも有効性を示すエビデンスには乏しいのが現状です。唯一エビデンスのある治療法は卵子提供ですが、本邦では一般的ではありません。

この病気はどのような経過をたどるのですか?

いったん早発卵巣不全(早発閉経)と診断されても、その後に排卵や月経が起きることもあります。従って、生涯に亘る妊娠率は5~10%は有るとも言われています。しかし、仮に排卵や月経が起きたとしてもその頻度は極めて低いので、一般の閉経年齢(50歳頃)まで定期的かつ継続的なホルモン補充療法が必要になります。

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