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多嚢胞性卵巣症候群

最終更新日:2019年11月9日

多嚢胞性卵巣症候群とは

多嚢胞性卵巣症候群(polycystic ovary syndrome、略してPCOSやPCOと呼ばれます)は、1)月経が不順である、2)卵巣に小さな嚢胞(卵胞)がたくさんある、3)男性ホルモンが高くなるなどホルモン値のアンバランスがみられる、の3つが揃うと診断されます。定期的な排卵が起きないため、不正出血が起きたり、無月経や月経不順になったりします。このような排卵障害のために不妊の原因にもなります。

この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

妊娠が可能な年代の女性の約5~8%に発症すると言われています。

この病気はどのような人に多いのですか

初経(初潮)の後しばらくの期間、月経が不順であることは普通です。その後次第に月経は規則正しくなります。しかし、多嚢胞性卵巣症候群の患者さんの多くは、初経からずっと月経が不順になります。肥満も多嚢胞性卵巣症候群の症状を悪化させます。

この病気の原因はわかっているのですか

体質や環境など様々な原因があるとされていますが、はっきりした原因は分かっていません。

この病気は遺伝するのですか

遺伝的な要因も指摘されてはいますが、疾患を引き起こす明らかな遺伝子の異常は報告されておらず、一般的な遺伝性の病気ではない、とされています。

この病気ではどのような症状がおきますか

月経不順、不正出血、無月経が主な症状です。その他、多毛になることもあります。肥満や耐糖能異常(血液中の糖濃度[血糖値]が通常より高い状態)を呈することもあります。

この病気にはどのような治療法がありますか

肥満を伴う場合は、先ず減量を含めたライフスタイルの改善が必要です。そのうえで、妊娠を希望しない場合では、月経異常や不正出血に対して漢方療法やホルモン療法(カウフマン療法、ピル等)が行われます。妊娠を希望する場合は、ホルモン療法をベースにして、経口あるいは注射による排卵誘発剤を用いることにより、排卵を起こして妊娠を目指すことになります。排卵をしやすくするために、卵巣に多数の孔を開ける手術が行われることもあります。

この病気はどういう経過をたどるのですか

月経不順や無月経を治療せずに長期間放置すると、子宮内膜に異常な変化が生じ、子宮内膜増殖症や子宮体癌(高分化型)が発生することがあります。また、生殖年齢の後半になり卵巣の機能が低下してくると、月経不順が改善されてくることもあります。

 

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