日本内分泌学会

English
医療関係の皆様へ
一般の皆様へ
専門医がいる施設はこちら

バセドウ病

最終更新日:2019年11月4日

「バセドウ病」とはどのような病気ですか

甲状腺ホルモンは、全身の臓器に作用して代謝を司るなど大切な働きを持つホルモンです。バセドウ病は、この甲状腺ホルモンを過剰に産生する病気(甲状腺機能亢進症)の代表的な病気です。

「バセドウ病」の患者さんはどのくらいいるのですか

人口1000人あたり0.2~3.2人と報告されています。20~30代の若い女性に多い病気です。男女比は1:3~5くらいと言われています。

「バセドウ病」の原因は何ですか

バセドウ病は自己免疫疾患のひとつです。自己免疫疾患とは、細菌やウィルスなどから体を守るための免疫が、自分の臓器・細胞を標的にしてしまうことで起きる病気の総称です。下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(thyroid stimulating hormone:TSH)が甲状腺ろ胞細胞のTSH受容体を刺激することによって甲状腺ホルモンは分泌されています。バセドウ病は、このTSH受容体に対する抗体が体内で作られてTSH受容体を刺激し続け、甲状腺ホルモンが過剰に産生・分泌されることで起こる病気です。TSH受容体に対する自己抗体が作られる原因は分かっていませんが、バセドウ病になりやすい体質を持っている人が、何らかのウイルス感染や強いストレスや妊娠・出産などをきっかけとして起こるのではないかと考えられています。

「バセドウ病」ではどのような症状がおきますか

代謝をつかさどる甲状腺ホルモンや、交感神経系のカテコールアミンが過剰になるため、典型的には、動悸、体重減少、指の震え、暑がり、汗かきなどの症状がおきます。その他、疲れやすい、軟便・下痢、筋力低下、精神的なイライラや落ち着きのなさが生じることもあります。女性では生理が止まることがあります。甲状腺は全体的に大きく腫れてきます(甲状腺はのどぼとけのすぐ下にあります)。目がとび出たり目が完全に閉じないなど眼の症状が出ることもあります。その他、炭水化物の多い食事をした後や運動の後などに手足が突然動かなくなる発作が起こることがあり(周期性四肢麻痺)、特に男性によくみられます。

「バセドウ病」にはどのような治療法がありますか

大きく分けて、薬物(抗甲状腺薬)治療、放射性ヨウ素内用療法、手術の3つの治療法があります。

①薬物療法

薬物療法は、最も簡便で外来で治療が始められるため、多くの場合に第1選択となります。永続的な甲状腺機能低下症になることは滅多にありません。欠点として、副作用が生じる可能性があることや、治療効果に個人差が大きく、一旦寛解(症状が一時的にでても消えたり、安定して薬を中止できること)しても再発率が高いことなどが挙げられます。薬物療法を2年以上継続しても薬を中止できる目途が立たない場合は、他の治療法を検討します。

② 放射性ヨウ素内用療法

放射性ヨウ素内用療法は、安全で効果が確実であり、甲状腺の腫れも小さくなります。再発がないように甲状腺機能低下をめざすと甲状腺ホルモン薬の服用が必要になる場合があります。欠点としては、実施できる医療機関が限られていること、バセドウ病による眼の症状が悪化することがあること、小児や妊婦・授乳婦では行えないことなどが挙げられます。

③甲状腺摘除術

甲状腺摘出術は、最も早く確実に治療効果が得られます。再発がないように全摘除を行うと甲状腺ホルモン薬の服用が必要になります。欠点としては、入院が必ず必要であること、手術痕が残ること、手術合併症(反回神経麻痺、副甲状腺機能低下症など)が生じるリスクがあることなどがあります。

「バセドウ病」はどのような経過をたどるのですか

未治療では、長期的に心房細動や心不全、脆弱性骨折などが生じてくるリスクが高いため、上記のいずれかの治療が必要です。治療後の経過は、どの治療法を選択するか、また個人差が大きく一概には言えません。いずれの場合も、甲状腺ホルモンが正常に保たれている状態を目指して治療を行ないます。

「バセドウ病」は遺伝するのですか

バセドウ病になりやすい体質は遺伝しますが、上記のように環境要因が加わって初めて発病します。親、兄弟、祖父母がバセドウ病の方は、一般の人に比べて20~40倍くらいバセドウ病になりやすいと言われています。

「バセドウ病」は日常生活でどのような注意が必要ですか

ストレスによって病気が悪化・再発することがあるので、なるべくストレスを避けて規則正しい生活を送りましょう。甲状腺ホルモンが高い時期に大怪我や手術を受けると甲状腺クリーゼとよばれる危険な状態になることがあるため、手術などはなるべく甲状腺ホルモンが正常になってから受けましょう。またタバコを吸っていると、薬の効きが悪かったり、眼の症状が悪くなりやすいので、禁煙しましょう。

「バセドウ病」をもちながら妊娠を考えたときにどのような注意が必要ですか

(もう少しお待ちください。準備中です。)

 

 

このページの先頭へ