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ステロイド離脱症候群

最終更新日:2019年11月4日

ステロイド離脱症候群とは

ステロイド(副腎皮質ホルモン)過量の状態から急にステロイド不足の状態に陥り、副腎不全症状を呈する病態です。クッシング症候群の術後でステロイド補充が不十分であったり、長期間治療薬として力価の高いステロイド薬を投与されていて急に投薬が中止になったりした状況などで起こります。原発性副腎皮質機能低下症の病態を呈しますので、高ACTH血症、低コルチゾール血症が見られます。

この病気の患者さんはどのくらいいるのですか?

この病気の疫学的なデータは明らかになっていませんが、クッシング症候群の術後には、ほとんどの患者さんが潜在的にこの病態になっています。

この病気の原因は何ですか?

ステロイド過量があるとネガティブフィードバックによりACTHが抑制されます。このようにしてACTHが抑制された状態が長期間続くと、正常副腎皮質は萎縮し、適切なホルモン分泌ができなくなります。急なステロイド不足の原因としては、クッシング症候群でステロイド補充の漸減・中止が早すぎた場合、花粉症などアレルギー疾患に対してステロイドを含有している薬剤を内服していながら、そのことに気づかずにアレルギーシーズンが過ぎて投薬を中止してしまった場合などが、比較的高頻度に見られます。自己免疫疾患に対してステロイド薬が投与されていて、病態の改善に合わせて中止する場合は、通常漸減しながら行うので、この病態が見られることは比較的稀です。

この病気は遺伝するのですか?

原因は外因性の要素を多く含んでいるため、一般に遺伝はしないと考えられます。クッシング術後の内因性ホルモンの回復の期間は、個人差が大きいことが知られていますが、遺伝との関連は明らかになっていません。

この病気ではどのような症状がおきますか?

アジソン病と同様に、副腎不全症状として、全身倦怠感、血圧低下、微熱、関節痛などを認めます。血液データで、好酸球増多、低Na血症、高K血症、低血糖なども見られます。高ACTH血症を認めますが、発症前はACTHが抑制されていた病態であり、ACTH高値は長期間ではないため、色素沈着を認めることは稀です。

この病気にはどのような治療法がありますか?

ステロイドの怠薬や中止が原因となっていますので、ステロイド再開により症状は改善します。内因性コルチゾール分泌の早期の回復を促す必要があるため、短時間作用型ステロイドを用いることが一般的です。副腎不全症状が強く、副腎クリーゼを呈している場合は、それに準じた治療を行います。

この病気はどのような経過をたどるのですか?

ステロイド薬を再開した後は、病態に合わせて漸減し、最終的にステロイド薬を中止します。クッシング術後や外因性ステロイド薬中止後のように、いずれ内因性コルチゾール分泌が回復することが期待される場合は、適切に漸減して行けばステロイド薬を中止しても症状は見られなくなります。ステロイド薬の漸減は、自覚症状を目安に行いますが、好酸球数の推移など、他覚的所見も参考にします。短時間作用型ステロイドを投与している場合は、早朝内服前採血を行うことで、内因性コルチゾールの回復の程度を評価することができます。

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