甲状腺ホルモンとはどのようなホルモンでしょうか?
甲状腺ホルモンは、首にある甲状腺という場所で作られるホルモンです。甲状腺ホルモンは、子どもにおける脳や体の発達や成熟、心臓の働き、などに非常に重要な役割を担っています。
先天性甲状腺機能低下症・亢進症はどのような病気でしょうか?
生まれてすぐに(あるいは生まれつき)、体中の甲状腺ホルモンの働きが弱くなる(低下症)、もしくは強くなる(亢進症)病気です。甲状腺ホルモンの働きが弱いと、脳や体の発達や成熟がうまく進まず、知能に影響してしまうこともあります。一方で、甲状腺ホルモンの働きが強いと、とくに心臓によくない影響が出ます。心拍数が多くなりすぎ、心不全になることもあります。
先天性甲状腺機能低下症・亢進症の原因は何でしょうか?
先天性甲状腺機能低下症の原因の多くは生まれつき甲状腺そのもので甲状腺ホルモンを作る力が弱いことによります。生まれつき甲状腺が無い、甲状腺の大きさが小さい、などがその代表です。
先天性甲状腺機能亢進症の原因は、お母さんが甲状腺機能亢進症(バセドウ病)であることがほとんどです。お母さんのバセドウ病の原因となっている物質が、胎盤を通過しておなかの中の赤ちゃんにも届いてしまうため、赤ちゃんもお母さんと同じ甲状腺機能亢進症になってしまいます。
先天性甲状腺機能低下症・亢進症になるとどのような症状がでますか?
甲状腺ホルモンの作用が弱い場合は、表に示すような症状がでることがあります。しかし日本では、先天性甲状腺機能低下症をなるべく早くに診断して治療を開始するために、生後すぐに全ての赤ちゃんに対してスクリーニング検査を行っています。脳への影響や表に示すような症状が出る前に治療を始めることができる環境が整備されているというわけです。
甲状腺ホルモンの作用が強いと、体重が増えにくい、呼吸が荒い、ミルクの飲みが悪い、などの症状がでます。
*小泉門:頭の後方にある三角形の小さなへこみです。生まれたときには誰でも小さな小泉門があります。
先天性甲状腺機能低下症・亢進症の治療はどのようにしますか?
先天性甲状腺機能低下症の場合は甲状腺ホルモンの働きが弱いので、甲状腺ホルモンそのものの内服治療を行います。
先天性甲状腺機能亢進症の場合は、逆に甲状腺ホルモンの産生を抑えるお薬や心臓の負担をとる内服治療を行います。