日本内分泌学会

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腎不全と内分泌

最終更新日:2019年11月9日

腎不全とは

腎不全とは、腎臓の働きが著しく低下した状態をいいます。数日から数週間で急に腎機能が低下した場合を急性腎不全、数年以上かけてゆっくり低下する場合を慢性腎不全と呼びます。

腎臓は、骨・副甲状腺・腸管と密接な関係を保ちながら、生体のミネラルバランスを維持しています。腎臓は副甲状腺ホルモン(PTH)などホルモンの調節を受けてカルシウム(Ca)やリン(P)を尿中に排泄する一方、活性型ビタミンD〔1,25(OH)2D〕を産生して、腸管でのカルシウム吸収や骨代謝の維持にも関与します。

腎臓の機能が慢性に低下した慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease:CKD)では、活性型ビタミンDの低下やリンの蓄積とともに、さまざまな骨病変、ミネラル代謝異常が出現します(エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2013参照)。

骨・ミネラル代謝異常は、血管の石灰化等を介して、生命予後にも大きな影響をおよぼすため「CKD-Mineral and Bone Disorder:CKD-MBD(慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常)」と呼ばれ注目されています(慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常の診療ガイドライン 透析会誌45(4):301-356,2012参照)。

この病気ではどのような症状がおきますか

慢性腎臓病では腎疾患の進行に伴い、腎臓でつくられるエリスロポエチンの産生が低下し、栄養低下、鉄欠乏、出血傾向、赤血球寿命の短縮とともに、貧血をきたすようになります(2008年版 慢性腎臓病患者における腎性貧血治療のガイドライン 透析会誌41(10):661-716,2008参照)。これを腎性貧血といいます。腎性貧血は心臓血管病の発症や生命予後、QOLの低下と関連します(エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2013参照)。

インスリンは一部腎臓でも分解されるため、腎不全患者や腎機能が廃絶した透析患者ではインスリンの代謝・排泄が遅延します。このため、糖尿病で腎機能が悪くなると血糖コントロールが一時的に改善したり、血糖降下薬やインスリン製剤の代謝・排泄が遅延して低血糖を生じることがあります(血液透析患者の糖尿病治療ガイド2012 透析会誌 2013;46(3):311-57.参照)。

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